義姉を病院へ2017/05/19 20:30

昨日は、病院の予約が午後だったので、
説得に時間的余裕があり、
連れて行くのに成功した!
病院で待っていてくれたケアマネージャーのSさんが、
無理だと思っていたのか、
私たちが到着すると、
「すごい! すごい!」を連発。

でも、まぁ、義姉の忘れっぷりこそ、すごい! と感嘆したくなる。

午後2時の予約だったので、逆算して午前10:50に義姉に電話。
電話に出た彼女に、私の名前を告げると、
「あ~、M吉さん、よかった~。何か不安だったので、M吉さんから電話もらったら、安心する」とのこと。
いつもそう言って喜んでくれるのだが、最初は意味がよくわからなかった。
でも、昨日、長く義姉と話していて、やっとその理由がわかった。
彼女は、少し前の記憶がないので、
自分の今の状態がちゃんと把握できないのだ。
メモを書いたとしても、書いた時の記憶がないので、そのメモは、
不安の材料にしかならない。
いつも何か不安に駆られている感じのようだ。
だから、私に説明してもらいたいのだ。
で、喜んでくれる彼女に、S病院に午後2時に予約しているので、
1時過ぎには迎えに行くから、それまでに出かける支度をしておいてほしいと伝えた。
前回のように、お風呂に入ったり、化粧をしても大丈夫なだけの時間を確保したつもりでそう言った。
で、いろいろ質問しながらも、最終的には理解してくれたように見えた。
その時、彼女は、
「お弁当を届けてもらったから、今、食べてるの」とのことだった。
弁当の配達が午前中にあるので、来たらすぐに食べるようだ。

ほぼ1時間後、義姉から電話。
「電話くれた?」とのこと。
それで、また今日のことを繰り返し説明する。
で、説明して、外出の支度をしておいて、とまた言う。
「わかった」とのこと。

そして、義姉の家の近くのコンビニに着いて、
また電話をして、
また一から説明して、
「もう近くのコンビニまで来てるから、何か欲しい物ある?」と聞くと、
お弁当が欲しいとのことなので、晩御飯用のお弁当とサラダを買って、
義姉の家に行った。

顔を見ると、一応、出かけられる服装なので、
ああ、わかってくれてるとうれしくなったが、
そうでもなく、またもや、一からの説明になった。
「S病院に行くの? それ、誰が行くように言うてくれてんの?」と、
この日、何度目かの質問。
また、答えを繰り返す。

「あたし、昨日、お風呂入ってへんねん。頭洗いたいけど、まだ時間、大丈夫やね」と言い出す。
実は、これも先の電話で言い出したのだが、
前回、お風呂で懲りたので、帰ってからにしようと説得したのだった。
「あ、もうそんな時間はないから、お風呂は帰ってからにしたら?」と、
また言う。
「まぁ、それでもいいけど、、、」と言いながら、
「もうちょっと早くから出かけるとわかってたら、お風呂に入れたのに」とぼやいている。
(早くから言うてまんがな、、、)とこっちの心の声。

財布がない、保険証がない、と何度も言い、
「大丈夫。保険証は、Sさんが持ってくれてるから。お金は立て替えとくわ」と、何度も説明して彼女を促す。
で、今度は、
「なんか、ふらふらするねん。何も食べてへんからかな?」と言う。
「11時頃、お弁当食べてるって言ってたよ。」
「え? そんなん覚えてへんわ。わたし、やっぱりおかしいよね。」
「だから、今日は病院へ行こ。」
お弁当を食べる、というのを
「S病院に行ったら、何か食べよう」と何度も説得して、
ようやく、彼女と一緒にタクシーに乗った。

なんとか、ぎりぎり2時に到着。

病院に着くと、Sさん相手におしゃべり。
お医者さんにもおしゃべり。
私にもおしゃべり。

ほとんどずっとしゃべり、
「M吉さんがいてくれてよかった」と言い、
「弟がよくM吉さんと結婚していてくれたものだと思うねん」といつものように言う。

謝ったり、感謝してくれたり、過剰なほど語るが、
たぶん、覚えていないから繰り返すのだろう。

そして、ああ、そうなのか、と思った。
彼女は、自分の今の状態がわからなくてとても不安なのだ。
病院では、看護師さんに病院の住所を尋ねていた。
住所を聞くと、家に帰ったら、地図で調べて、また一人で来てみようと思う、と言う。
そんなことはできるわけない、という看護師さんやケアマネさんの顔。
いや、私もそういう顔をしていただろう。
とにかく、義姉は自分の状況を把握したいのだ。
でも、できないのだ。
だから、不安で不安でたまらないのだろう。
「私は、どうなってんの?」としょっちゅう聞く。
聞かれる度に、私は、本当のことを言う。
それで彼女は、一瞬は納得して、ちょっとホッとする。
でも、また忘れるので、また質問してくるのだ。

帰り、彼女を家まで送って行った。
私が買って来ていたお弁当を見て、食べると言う。
4時近くになっていたので、「ま、いっか」、という感じだ。
「水分も忘れないでね」と言って、お弁当を前に、機嫌良さそうになったので、帰ることにした。
病院に行ったことは、もう忘れていた。

彼女は、ほんとうに私が傍にいると安心するようだ。
その理由が、やっと見えた。
自分がどういう状態なのか、把握できなくて不安なのだが、
私がいると、私が彼女に説明する。
それで、やっと自分が今どういう状態であるかを掴めるのだ。
その説明の記憶はすぐに消えるので、
また「私って何? なんでこんなにおかしいの?」ということになるのだが、とにかく、私が傍にいるときは、いつも質問に答える。
それが彼女の安心の素だったのだとわかった。

「M吉さんは、べつにお世辞を言ったりしないし、余分なことは言わないけど、ちゃんとほんとのことを言ってくれる」と彼女は言う。
たぶん、それはわかるのだろう。
ごまかされたりするのはいやなのだろう。
もちろん、ごまかしを言われてもすぐに忘れるのだが、それでも、ごまかしを言われれば、その瞬間はそれがわかるのだろうと思う。
一生懸命説明すると、一生懸命聞いている。
そして、その瞬間、彼女はすべてを理解し、把握するのだ。
たとえ、すぐに忘れるとしても。
私は彼女のそのせつなの安心に応えるしかない。
昨日は、そのことを実感した日だった。
今の自分を知ろうとして苦しんでいる彼女を思うと、なんだか胸に迫ってくるものがある。

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