事件の真相2016/03/31 20:00

昨夜寝る前にちょっと、と思って開いた本がやめられなくて、結局、夜中まで読み通すことに。

嘗て、高校生のいじめによる自殺と報道された事件の真相を取材している本です。
なぜ、この本を読んだかというと、事件の真相がマスコミ報道とは真逆である、ということを証した本だと解説に書かれていたからです。



最近の学校にはいじめがある、体育会系のクラブにはしごきがある、いじめに悩んで自殺した生徒が何人もいる、学校は隠ぺい体質で事実を認めない、、、ほんとうにこうしたことが多発しているのでしょう。
だから、上記の本に取り上げられた事件でも、パターン化された思い込みのストーリーが世間を駆け巡ったようです。
でも、実際にかかわった人たち、ごく身近な人たちは、事実は違う、ということを知っています。
事件から遠い人ほど、パターン化された思い込みだけで裁定しがちです。
そして、パターン化されたストーリーに乗っかる「被害者」(この本では実際は加害者)もいます。

人々の思い込みに働きかけて信じさせるのが、一番イージーです。

最近の学校にはいじめが多い、学校は隠ぺい体質である、いじめを認めない教師たちは人権意識が欠落している、、、、

これは流通している思い込み。
このストーリーに乗っかった推理が人々を安心させます。
「そうでしょ、そうでしょ」と、それ以上、考えずに済みます。
新たな責任者を探したり、自分自身をも問い直さねばならないなんて、誰でも不安になり、落ち着きません。
だから、流通しているストーリーが一番、受け入れられやすい。

しかし、上記の本の事件は、「いじめで息子に自殺されたと学校を訴えた母親」の方に問題があることが明らかになっていきます。
身近な人たちには明白な事実なのですが、そこから遠い人ほどその事件の特異性がわかりません。
人々はどこまでも、わかりやすいパターン化されたストーリーにしがみつきます。

なぜ、私がこの本に興味を持ったかと言うと、やはり、流通しているパターン化されたストーリーが人々に難なく信じられ、真相がちゃんと認識されない事件に遭遇したからです。
ちゃんと見れば、わかるけれど、そんなに人々はちゃんと見ていません。
自分に興味のある部分をつまみ食いしているだけで、あとはイージーな既成のストーリーに身をゆだねて判断しています。
どんなに賢明な人でも、この過ちは犯しがちでした。

流通する噂というものも、信じやすいストーリーに沿っていると、人々は思い込みを強化します。

何度か類似の出来事を経験して、
どんなことがあっても、予断や思い込みで事にあたってはいけないと、
肝に銘じておこうと思うようになりました。