裁判傍聴2014/06/06 23:13

、嘗ては仕事がらみでたまに行くことがあった裁判所。でも、最後に行ったのは、ある民事裁判で、証言台に立った(正確には座った)時でした。単に証人と言えども良い思い出ではないので、その後近づきませんでした。

 先日は、友人が仕事の関係で、裁判の傍聴をしたいと言うのでつきあいました。久しぶりの裁判所。で、裁判員裁判が始まって、初めての傍聴でした。裁判員裁判は、刑事事件の中でも重罪にあたる殺人、殺人未遂のような事件で実施されています。
 法廷では、裁判員が裁判官の両横に3人ずつ座っていて、皆さん、真剣です。たまたま、今回傍聴したのは、高齢女性が、家庭内のもめ事で殺人未遂事件の被告となった事件らしく、被告人の尋問が行われていました。事件について予備知識が全くないまま入ったので、高齢女性が被告人とわかって、ちょっとびっくり。
 
 後で友人といろいろ話しました。被告の女性は、それまで、このような公の場で、自分のものの考え方や行動を客観的に論証するというような経験はしたことがないのだろうと思いました。それが急に、自分の行動を説明しなければならない場所に引き出され、説明には論理的整合性が求められるのです。検察側と弁護側がそれぞれ自分たちの思惑を以て論証しようとする尋問なのですが、その意図が理解しにくいらしく、見当はずれな答え方をしたりして、どちらの側も苛立っている感じがしました。

 もう何年も前に傍聴して心に残っている風景があります。窃盗だったか覚醒剤だったかの常習性のある罪を問われた人の事件を傍聴した時のことです。被告人も検事も弁護士も裁判官も全員男性です。私の心に深く突き刺さるように残ったのは、被告人は裁判の中で用いられる言葉があまり理解できず、裁判官が翻訳するように極力平易な日本語で語りかけていたのですが、私の目には、この社会で勝ち組の男達が、負け組の男を取り囲んでいじめているように見えました。だって、裁判官も検事も弁護士も、この社会の勝ち組。「何をしたかわかっているのか?」と譴責され続ける被告人は、法律用語も理解しない、社会の片隅でもがくように生きて、法に抵触してしまう人なのでしたから。

 今回は2つの事件を傍聴しましたが、裁判員裁判になって、法廷の風景も変わったと思いました。もう一つ変わったなと思ったのは、一つの裁判では、とても若い女性の弁護士がいたことでした。裁判員裁判ですから、シビアな刑事事件なのですが、きゃしゃな若い女性弁護士がドラマさながらに尋問中でした。検察側にも、尋問こそしていませんが、若い女性も複数混じっていました。時代は変わったと思いました。

 日本の裁判は公開ですから、誰でも傍聴できます。裁判員裁判になってから、傍聴する人は増えたかもしれません。高校生か中学生らしい制服姿のこどもたちも傍聴に来ていました。
 機会があれば、傍聴はした方がいいと思います。裁判がどのように行われるか、この国では人がどういうふうに裁かれるのか、しっかり見ておいた方がよいように思います。
 傍聴初体験の友人も、いろいろ思うことがあったようでした。仕事がらみでもなければ足を運ばない場所ですが、行けば必ず、頭をかかえるように思考がめぐります。

コメント

_ 天真爛漫童爺 ― 2014/06/07 07:08

その様な場には立ちたくありませんね。
平穏無事に最期の日を迎えたいものです。

_ M吉 ― 2014/06/07 13:21

天真爛漫童爺さん
きっと、多くの方がそう思われるのでしょうね。

まだ現役世代ですと、裁判員に選ばれる可能性もありますから、他人事ではないのですが、、、。
ふだん考えないことを、考えてしまう場所です。

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