強風とばあさん2023/02/21 13:33

所用があって、歩いて20分くらいの公的施設に向かうところだった。
寒いけど、まあ、何とか大丈夫、という感じ。

が、風が強くなってきて、7~8分くらい歩いて、
広い十字路まで行ったら、歩けなくなった。
風に押し戻されるような感じの中を歩いて来たが、
やがて、2~3歩、後ろや横に飛ばされるようになって、前に進めなくなった。

これは、常時吹く風というより、突風に近い風だからだろうか。
これはヤバいと思って、
目の前のビルに入ろうとするが、そのビルの前までたどり着けない。
通常なら15歩ほど歩けば入れるビルの正面玄関に行けない。

立ってるのもまずい。
これは今日は無理だと悟り、家に帰ることにした。
が、引き返すのも困難。
何とか踏ん張って安全な場所を探し、
ようやく、手すりまでたどり着いて、手すりをつかんで突風に耐えた。

で、周りを見ていると、女性でも普通に歩いている。
が、一人だけ、小柄な高齢女性が歩けなくなったらしく、
連れらしい中年の女性二人があわてたように両脇から支えた。
ああ、私はあの小さなおばあさんと一緒なんだと知った。

イキった恰好をしていても、年寄りは年寄りなのだな、私。

どっしりした体形の人に(男の人はびくともしないように見える)、
せめて、信号を渡る間だけでも(狭い横断歩道なのに、手すりを離すのが怖い)、
連れて行ってもらおうかと、まわりを見回すが、
ちょっと離れているだけでも、声をかけづらい。

ようやく、風が少し凪いだので、横断歩道を渡り、(ひょろひょろしながら)、
先ほど入ろうとしたビルの反対側のビルに入ることができた。
地形というのも原因なのだろう。
高層ビルと高層ビルの間の風が吹き渡る広い交差点だ。
ただ、私が渡りたかった横断歩道だけは道幅が狭い。
南側は大阪城公園という広い空き地が拓け、
広い車道をはさんで高層ビルが立ち並ぶ、
少し行くと川だ。

ビルに入ると、なんとか突風から免れたが、ショックは尾をひいている。
カフェがいくつもあるビルなので、休憩したいが、早く家に帰りたい気持ちの方が強い。

歩けなくなるほどではないが、
油断できない強風の中を、
なんとか、家にたどり着いた。

一歩、家に入れば、暖かく穏やかで、
ベランダには陽光が差込み、洗濯物が揺れている気配もない。

あれは何だったんだ? と思いつつ、
今日はもう、外に出る気力を失った。

ベランダから見える木々は、そよいでいる程度の穏やかな風景だ。
が、さらに向こうに見える道路端の大木は結構な揺れだ。

風のめぐりの複雑さなのだろう。
が、私自身、天候の変化にも、すっかり脆弱になった。
思わぬところで、自分の弱さを知る。