同じマンションの人の死 ― 2020/03/07 17:27
時折、見かける人だった。
あんまり人相の良くない、背の高い、私と変わらない年齢の男の人。
マンションの私の住居のすぐ上のフロアに住んでいるらしく、
時折、階段で見かけたが、
不愛想な感じなので、特に挨拶もしたことがなかった。
別の棟にあるテナントのオーナーでもあって、
そこの前でよく手持無沙汰げに立っていた。
小売りの店ではなく、隣の美容院の人の話では、
何かの通信販売だということで、いつもシャッターは半開きだった。
通りかかると挨拶はしないのに、じっと見ているので、
なんかちょっと苦手な人だった。
いや、ちょっとどころではなく、実は、不気味な感じすらしていた。
若い女の子なら、「気持ち悪っ」と言いそうな、陰気なおっさんだった。
一度だけ、その人の店の前にある自販機(その人がオーナーらしかった)で、
飲み物を買って、複数個いっぺんに出そうとして手こずっていたら、
それは無理やろ、みたいなことを言って、出すのに手を貸そうとしてくれたことがある。
出してもらったか、結局、その人の助けを借りずに出せたのか、もう覚えていない。
ただ、私と同様に一人暮らしらしいとは見当がついていた。
自分の気持ちを投影していただけかもしれないが、
孤独な陰を感じていた。
あの人もきっと寂しいのだろうと、思っていた。
ある日、長い間、その店のシャッターが閉まったままだった。
私は自分が病気で入院したりしているので、その人もそうだろうと思った。
あんまり長い間、閉まっているので、きっと悪い病気なのだろうと思った。
そして、ある日、別人のようにやせ細ったその人を見かけた。
「やっぱり」と思った。
一時的に退院しているだけで、回復しているのではないような気がした。
そして、また暫くすると、シャッターが閉まったままになった。
「やっぱり」と、また思った。
悪くなって再入院したのだろう、今度はもう、帰って来ないかもしれないと思った。
その後、あまり長く閉まったままなので、もう、生きていないのだろうと思った。
そして、先日、亡くなってしまっていると知った。
すべて、「やっぱり」という流れだった。
何の縁もなかった人なのに、
なんだか、そのあたりのことを、目に見えるように確信していた。
胸苦しくなるほど、その人のたどった運命が身に詰まされる。
たぶん、その人に、自分を重ね合わせていたのだろうと思う。
そして、私が辿るかもしれなかった最も悪い運命を、その人に投影して、自分を孤独や病気への恐れから救おうとしていたのかもしれない。
あんまり人相の良くない、背の高い、私と変わらない年齢の男の人。
マンションの私の住居のすぐ上のフロアに住んでいるらしく、
時折、階段で見かけたが、
不愛想な感じなので、特に挨拶もしたことがなかった。
別の棟にあるテナントのオーナーでもあって、
そこの前でよく手持無沙汰げに立っていた。
小売りの店ではなく、隣の美容院の人の話では、
何かの通信販売だということで、いつもシャッターは半開きだった。
通りかかると挨拶はしないのに、じっと見ているので、
なんかちょっと苦手な人だった。
いや、ちょっとどころではなく、実は、不気味な感じすらしていた。
若い女の子なら、「気持ち悪っ」と言いそうな、陰気なおっさんだった。
一度だけ、その人の店の前にある自販機(その人がオーナーらしかった)で、
飲み物を買って、複数個いっぺんに出そうとして手こずっていたら、
それは無理やろ、みたいなことを言って、出すのに手を貸そうとしてくれたことがある。
出してもらったか、結局、その人の助けを借りずに出せたのか、もう覚えていない。
ただ、私と同様に一人暮らしらしいとは見当がついていた。
自分の気持ちを投影していただけかもしれないが、
孤独な陰を感じていた。
あの人もきっと寂しいのだろうと、思っていた。
ある日、長い間、その店のシャッターが閉まったままだった。
私は自分が病気で入院したりしているので、その人もそうだろうと思った。
あんまり長い間、閉まっているので、きっと悪い病気なのだろうと思った。
そして、ある日、別人のようにやせ細ったその人を見かけた。
「やっぱり」と思った。
一時的に退院しているだけで、回復しているのではないような気がした。
そして、また暫くすると、シャッターが閉まったままになった。
「やっぱり」と、また思った。
悪くなって再入院したのだろう、今度はもう、帰って来ないかもしれないと思った。
その後、あまり長く閉まったままなので、もう、生きていないのだろうと思った。
そして、先日、亡くなってしまっていると知った。
すべて、「やっぱり」という流れだった。
何の縁もなかった人なのに、
なんだか、そのあたりのことを、目に見えるように確信していた。
胸苦しくなるほど、その人のたどった運命が身に詰まされる。
たぶん、その人に、自分を重ね合わせていたのだろうと思う。
そして、私が辿るかもしれなかった最も悪い運命を、その人に投影して、自分を孤独や病気への恐れから救おうとしていたのかもしれない。
コメント
_ すぴ ― 2020/03/08 00:00
_ M吉 ― 2020/03/08 11:57
すぴちゃん、ありがとう。
でも、大丈夫よ。
仕事で忙しいときは、全然寂しいなんて思わないから、案外、現金なものです。
この騒ぎが終わったら、また、動き出します。
すぴちゃんも、自衛してね。
やっぱり、からだが資本だから。
でも、大丈夫よ。
仕事で忙しいときは、全然寂しいなんて思わないから、案外、現金なものです。
この騒ぎが終わったら、また、動き出します。
すぴちゃんも、自衛してね。
やっぱり、からだが資本だから。
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人はこのような寂しさや孤独や不安からは逃れられないのかなぁ。兄は寂しくないのかなぁ。とかいろいろ考えてしまった、3月の雨の夜。
あったかくなったらお散歩いっぱいしてね。私も体力の低下をなんとかしたいのでバランスボールに座ってるよ、効果はよくわからないけど。