88歳の友人2017/09/30 11:55

Yさんが言っていた。

夏に亡くなられた夫さんの遺影の前に花がたくさん飾られたリビングで、
「最近、よく中也のあの詩が思い浮かぶの」と。

~あゝ おまへはなにをして来たのだと……
吹き来る風が私に云ふ~

中也の「山羊の歌」の中の「帰郷」という詩だ。
私の世代では、中也の詩は、必ず国語の教科書に載っていたのではないかと思う。
が、Yさんは戦前生まれ。
私の母と一つ違いの昭和4年だ。

調べていないのだけど、
中也の詩が、母の世代の人が教科書レベルでなじんでいるとは思いにくい。
と言うか、母の口から中也の名前を聞いたことはない。
翻訳詩がよく読まれたであろう世代だから、
ブラウニングやハイネは、母から教わったけれど。

Yさんの口から、中也のこの詩を聞くとは思わなかった。
私のような者こそが、
いたく心に刻むi一節だと思っていたのだ。

そして、こんなにも社会的に活躍して、
いろいろな著名な人から、夫を亡くして弔電をもらうYさんが、
そのような感慨を持つのが意外だった。

人にはそれぞれ、成したかった何かがあり、
潰えた志のかけらがあり、
未完成の自己感をかかえるものなのかとしみじみ・・・

長く生き過ぎた・・・2017/08/26 10:16

80歳をいくつか過ぎた頃、
母が時々、「長く生き過ぎた」と言っていました。

今、同じ言葉を、ふとつぶやいてしまう私。
母の現役観と、私の現役観は風景が違います。
母は夫と一緒に過ごして、夫の食事を作っている間は、
現役観が持続していたでしょう。
でも、夫が逝き、
娘や孫といっしょに遊びに行っていた頃は、
現役を過ぎた後のおまけの時期だったかもしれません。
でも、楽しかったのでしょう、いつも「幸せ」と言っていました。

が、息子が超多忙な仕事に就き、
娘も遠方に転居し、
自分自身もだんだん一人で外出する馬力がなくなってきて、
貯えも少なくなってきて、
いよいよ、人生の良い時期が過ぎたと感じたかもしれません。
で、「長く生き過ぎた」と。

私は、まだ細々と現職。いえ、今や、ご隠居さん仕事。
でも、昨日のような行政の会議に出れば、
集中力が全開して、テンションが上がります。

会長がコーディネートをしてくれて、私が行政資料について、
他の委員さんの指摘や質問が出た後、
さらに課題提起などします。
これはなかなか良い役割分担ではないか、と思えました。

久しぶりに会議に出て行って、
実は何も考えていなかったので、
最初の挨拶も行き当たりばったりでうまいとはとても言えないのですが、
後半、調子が出て来て、飛ばしたゾ!(笑)

こういう機会が以前は、頻繁にあったのに、
(あり過ぎると、また、疲れてよれよれになるけど、、、)
今はたまにある感じです。
でも、こういう機会を、何とか自分でも工夫して増やしていかないと、
「長く生き過ぎた」感が沸き起こり、哀愁が漂ってしまうのです。

男の人は、皆、双眼鏡を持っている2017/06/22 12:48

久しぶりに息子が電話をくれた。

ランチをした後、義姉の家を二人で訪ねてみた。
義姉は、とても元気。
(S姉、ケアマネさんの話でも、最近、とても元気とのこと。)
息子にも、
「久しぶりやね~」と喜んでくれる。

息子は、彼女の状態を私から聞いているので、
なんとか、思い出し作業をしてもらおうと、
彼女の姪や甥の名前を、自分も忘れたふりをして尋ねていた。
が、出てこない。
と言うより、
「忘れたわ」と、あっさり、話題から外す。
この元気さ、明るさは、ひょっとして、
自分の記憶力の衰えを、もう直視しなくなったせいかもしれない。
少し前は、記憶力の衰えを悲しみ、不安がっていた。
なんだか、それがつきぬけちゃった、というように見える。
不安や悲しみを感じるのは、まだ、事態を把握しようという意欲があったせいなのではないか。

しかし、息子はその元気な義姉しか見ていないので、
たぶん、事態の深刻さには気づかないだろう。
と言うか、こいつは(あ、もとい! この子は)、いつも、
大変な最中にはいなくて、一段落したような良い状況に居合わせることが多い。
ちょっとむかつく。

半分下りていたベランダのブラインドを息子が上げるので、
義姉は、
「向かいのビルから見られるかも」と言う。
確かに、だいぶん離れてはいるが、ビルの窓が並んでいる。
義姉曰く、
「ほら、男の人って、みんな双眼鏡を持ってるでしょ?」
「みんな?」息子が聞き返す。
「そう、みんな双眼鏡を持ってるやん。それで見てたりするねん」と、真顔で、何度も言う。

「男の人は、皆、双眼鏡を持っている」というのは、
私も何度も聞いた。
息子は、
「みんな持ってるの?」と、大ウケ。

結局、明るい義姉と、
とても機嫌よくさよならをして辞去した。
彼女の家の近くに、おいしいと評判のパン屋さんがあって、
おみやげに買って行ったが、
たぶん、食べるのを忘れたまま、どこかにいってしまっただろうなと、
ちょっと後悔している。

浜松の男性2017/06/07 09:31

浜松へプチ旅行した時に思ったことの一つ。

出会った男性がとにかく、優しい。
いえ、大した出会いとか、ではありません。
皆、道を聞いただけ(^^)

駅員さんに乗り換えのことを聞いたり、
通りすがりの人に鰻屋さんの場所を聞いたり、
交通整理をしているガードマンみたいな人に目的地の行き方を聞いたり、
ワンマンカーの運転手さんに次の電車のことを聞いたり、
行き当たりばったりの旅で、予習していないので、
実にいろいろ、お尋ねしました。
なぜ、男性ばかりに聞いたか、、、、
今、思い出すと、女性は皆、忙しそうで、
聞きやすい所にいたのが男性だった、というだけのことですが。

とにかく、皆さん、揃いも揃ってとてもソフト。
微笑みをたたえた優しい表情で、
親切に、おっとりとした物言いで、教えてくださる人ばかり。

たまたまでしょうか?
それとも、静岡の男性はこういう人が多いのでしょうか?
実は、浜松オトコはいい男、というような隠れた評判があるのでしょうか?

大阪のがさつな男性
(オッと、いけない。皆が皆、がさつではありません^^;)
を見慣れていると、浜松のおっとりしたソフト路線の男性が実に新鮮でした。

ウナギに夢中の友人に同意を求めましたが、
「そうかな? べつに何とも思わないけど」と、
人間のオスにはいたってクールでした(^^)

浜名湖で2017/06/05 11:53

一昨日は、ある研究会があって、浜松に行きました。
たまたま前日、電話で友人に
「明日、浜松で○○の研究会があるので行くの」と話したら、
「私も行く!」と言うので、急遽、一緒に出かけてきました。
研究会はとても良くて、最近、ちょっとだれ気味だったのですが、活気が戻ったような気分でした。
友人にも、「よかった~、ありがとう♪」と、とても感謝されました。

さて、行きの電車の中で、
「せっかく、浜松に行くのだから、観光して帰らへん?」と友人が言うので、
遊ぶのにはノリのよいわたし、即、賛成。
一人で行くつもりだったので、日帰りの予定でしたが、
翌日は何も予定が入っていなかったので、急遽、浜松駅前に宿を取りました。
気楽なひとり暮らしの行き当たりばったり、です。
「帰りは明日になる」と、猫ちゃんに電話するわけにいかず、それだけが気がかり。

で、初めて浜名湖を訪れ、とても素敵なところだと思いました。
年を取ると、旅行の味わいが変わります。
「昭和」を思い切り強調した天竜浜名湖鉄道に、フリーチケットで乗車。
降りたり、乗ったり、自由です。

前日から「ウナギ」を食べることばっかり、話題にしている友人。
一昨日の夜の会話。
友人「あ~、やっぱりこっちかな~」
M吉「研究会のこと? 何がこっち?」
友人「ウナギ。どの店にしようかなと思って」

研究会の夜は、当地の参加者の一人が、浜松餃子を紹介してくれて、いっしょに餃子を食べたので、
(それもおいしかった! 餃子なんてめったに食べない私には新鮮で、堪能しました。)
ウナギは翌日のお昼に食べることにしました。
友人「朝からウナギはどうやろ?」
M吉「お昼にしよう」
友人「どこでお昼食べる?」
M吉「明日のお昼は、明日、考えよう」
友人「食べられなかったら、どうしよう」
M吉「これだけ、名物なんだから、たくさんお店はあるでしょ」

友人は、ずっとウナギの心配。

翌日、天竜浜名湖線に乗ります。
早く湖が見たい私。湖のすぐ傍を走ると書かれています。
ずっと、観光案内を見ていた友人、
「もうちょっとしたら、こっちに見えるらしい」。
「え? そうなの?」と私は身を乗り出して、窓の外に目を凝らします。
友人「ウナギ屋さんが見える。急に身を乗り出して、びっくりしたぁ~」
M吉「ウナギ屋さんが見えるの?」
拍子抜けした私に、友人は大笑い。(私が笑われる立場? ん?)

ウナギ屋さんは、大人気のお店で確かにおいしかったです。
写真、撮るの忘れたけど。

で、ウナギを食べて、やっと風景に関心をシフトさせてくれた友人と車窓を楽しみます。
で、下車した三ヶ日駅は、とても風情があります。


三ヶ日駅から、少し遊歩道を歩いてみました。
でも、電車一駅分歩いて、リタイア。
湖畔は、人っ子一人いません。
静か過ぎて、ちょっと不気味なくらい。
でも、ず~っと、湖を見ながら歩きます。
大阪の喧騒から離れて、素敵な風景でした。
対岸の森や点在する建物、静かに波打つ湖面、時折魚が躍ります。
良いプチ旅行をしました。

夜、我が家に着くと、猫ちゃんが「ニャン」と走って迎えに出て来ました。
シチュータイプもドライタイプも、いつになくフードのお皿は洗ったようにきれいに食べてありました(笑)